東京高等裁判所 昭和34年(う)67号 判決
被告人 村沢泉
〔抄 録〕
被告人の控訴の趣意中事実誤認の主張について。
原判決認定の事実はすべて原審公判廷において被告人の認めて争わないところであつて、原判決挙示の証拠を綜合すればすべてこれを認め得るところである。もつとも、記録を検討すると原判示第二の五の事実については、被害者島田清美の司法警察員に対する供述調書によると、さきに同人の提出した被害届記載の被害品中男物羽織一枚(黒羽二重庵木瓜紋つき、時価二千円相当のもの)は後に同人宅箪笥の下から発見されたので結局同人方の盗難被害は背広三ツ揃一着外衣類十八点、時価合計二万八千四百八十円となる筋合であり、この点については原判決に事実の誤認があるものといわなければならないのであるが、この程度の誤りはいまだ判決に影響を及ぼすべき事実の誤認とはなし難いところであり、他に記録を精査検討しても原判決に事実誤認の疑は存しないから、結局論旨は理由がない。
(坂井 山本長 荒川)